40人が本棚に入れています
本棚に追加
/115ページ
「いえいぇ。」
と言っておばさんは優先席に深く腰かけた。
僕はもらったアメを制服のポケットに入れる。
(なんか、嬉しくもらえないなぁ...)
そのあとおばさんは、三つ目の高町駅で電車を降りた。
その時におばさんが目配せで「ありがとう」と言ってきたので、僕も返してあげたのだった。
電車のドアが
音を立てながら閉まった。
おばさんは、ドアを挟んだ向こうで僕に笑いかけていた。
今度は素直に返事を返せなかった。
僕はドアに背を向けて、立つ。
電車がガタンと、動き始める。
僕は駅につくまで
ドアに背を向けたままでいた。
周りを見渡すと、さっきまでの先輩たちの姿はもうなかった。
(なんだ、見てないじゃないか
カッコつけた僕が、バカだったなぁ)
あとの祭り…
この言葉の意味を
深く噛みしめた気がした
瞬間だった。
「---------------------
駅についた。
電車の扉が開くと、
僕は数人の人と
一緒にホームに
足を降ろして、
人ごみの中、
階段を下りて
改札口へと向かう。
最初のコメントを投稿しよう!