テスト

17/18
40人が本棚に入れています
本棚に追加
/115ページ
気がつかなかった。 僕の心臓の鼓動は 今までの人生を 過ごしてきた中で、 これ以上ないくらい、 早いスピードで 鼓動していた。 息があらい。 ギルバークに蹴られた 左腕もズキズキする。 こんなにも、 何かに必死に なったのは 生まれて初めてだった。 きっとそれは、 父さんと母さんと 一緒にまた暮らしたい また笑って過ごしたい と言う、自分の 欠けてしまった心を がむしゃらにでも 直したいという 気持ちから起きた 行動なのかもしれない。 欠けた心は、 自分の指の爪が 剥がれた時のように、 ずっとチクチク痛くて 今までとは違う 部分がすーすーと 風にあおられて さらけ出されて しまうような感覚だった。 でもその爪も 化膿さえしなければ いつかは元通りになる。 永遠に治らない わけじゃないんだ。 なら今は 化膿しないように、 心が腐ってしまわぬように 時間をかけてでも 治して行くしかない! このギルバークとの戦いが 心の中でこんなとこを 僕に決意させたのだった。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!