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「桂様、次の私の偵察場所はどこですか?」
その言葉に男は刹那、酒を飲む手を止め、真剣な目を向ける雄利(ユウリ)をちらと一瞥し、再び酒を一口含むと、事も無げに告げた。
「……新撰組だ。」
「し、新撰組?!何故そのような場所へ…!!」
酒を飲む手を止めない桂は、声を張り上げる雄利をさも鬱陶し気に無言で睨んだ。
「……すみません。」
すると、しおしおと声を小さくする雄利。
興が削がれたと言わんばかりに、彼女に一度も目もくれず、彼は雄利を後ろに部屋から出ていった。
蝋燭が静かに揺れる部屋の中、ただ1人、雄利は悲しさに浸っていた…―――。
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