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―――翌朝
荷物をまとめている雄利の隣で、彼女の仲間であり、兄のような存在である谷口が、いつも毎日のように話しをしているバカ話をして皆を笑わせていた。
「でなぁ……」
話を続けていた筈の谷口は、何故か途中で話を止め、まるで労(イタワ)るかのような目で雄利をじっと見つめはじめた。
そして、荷物整理をしていた手を止め、身動き1つしない雄利に話し掛ける。
「ユーリ、どうしたんだ?なんだか元気ないな…。」
「……え?…いや、元気だよ。」
ハハッと笑って誤魔化す雄利。
しかしやはりどこか元気がない。
―――笑顔が嘘っぽい…。
「……淋しい、のか…?」
力なく聞くと、雄利は再び荷物を詰めだした。
まるで、何かを紛らわすかのように…。
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