序章

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「くそ…」 一度膨らんだ感情は止まることを知らなくて、僕は何もかもがむしゃくしゃしていた。人気のないグラウンドの片隅で、僕は何度も何度も地面を蹴った。 それ以外に、この鬱憤を晴らす方法が思い付かなかった。 ゴールからスタートラインに戻るために歩いていると、声がした。 「ねぇ、何しているの?」 僕が声をした方を見ると、すぐ隣にあるフェンス越しにセーラー服の女生徒がいた。その顔には覚えがある。 僕は吹き出る汗をシャツの襟で拭った。 「杉本こそ、何してんだよ」 僕の言葉に、杉本は少し驚いたような顔をした。
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