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自分が人のこと家に呼びつけておいて、来たら来たでお構いなしにほったらかしなのはどういうわけだ、と普通なら怒るところだけど、おれらの間では割と普通の光景だったりする。
お互いが何をしていようとも、同じ空間にいて一緒に時間を過ごせればそれでいい。
近すぎず、遠すぎず、無関心でもなければ束縛もしない。この心地良い距離間がたまらなく好きだ。
でも、今日はそのいつもの距離が何となく無性に寂しい。
ふいに甘えたくなって、構ってほしい、と視線を送るのに、コウはこっちを見ようともせずただ低く笑った。
「疲れたって、あんた寝てただけでしょ」
確かに。
コウのベッドでゴロゴロすんの好きだよ。
確かにそうだけど、その言われようは納得がいかない。
誰かさんが構ってくれないから寝るしかねえんだろ、と心の中で呟いて口を尖らせる。
「寝るのに疲れたんだよ」
半ば憮然と答えれば、反対に楽しそうな声。
「ふははっ、何それ。あんたやっぱりずれてるよ」
俺はヅラじゃないからずれてません。
と寒いギャグを飛ばしてやろうかと思いながら、ダジャレ好きなオヤジの遺伝をひしひしと感じ、やめた。
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