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ぎゅう、と抱きしめられて手持ち無沙汰なおれはゆっくりとコウの背中に腕をまわす。
「…あんたが悪いんだよ」
「え、」
何がだよ。
「アキが帰ろうとするから、敵にやられちゃったじゃん」
どうしてくれんの、という言葉とは裏腹に額を俺の肩に擦り寄せてくる。
それっておれのせいか?
いやそもそもの原因は恋人ほったらかしてゲームに没頭してたお前だろ。
「おまえがゲームばっかやってるからだろ」
「違うよ」
「何が」
ぎゅっと、コウの手にちからがこもった気がした。
「おれんち来るなり寝てたの、誰だよ」
おれだって、傷つくんだよバカ。そう言ったコウの耳があかくて、おれは思いがけない告白に嬉しくて、ごめんと呟いて尖った唇にキスをした。
end.
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