虹色世界

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今、店内にいるお客さんは佐伯くんだけ。 …まぁ、普段から人はあんまりいない。 だから佐伯くんがメニューを見ている間は妙な沈黙。 「じゃ、チョコパフェください。」 メニューから顔をあげた佐伯の、予想外のオーダー。 「かしこまりました。」 チョコレートパフェ…。 なんか、可愛い。 「あ、やべっ。」 突然の呟きに隣を見る。 慌てた様子の零一さん。 「どうしたんですか?」 「今、バニラアイス切らしてんだよね。 昼食べちゃってさー!」 って、お店のものつまむのもほどほどにしてくださいって言ってるのに! 反省の色が伺えない零一さんは、なんでか笑顔。 「じゃ、僕急いで買ってくるんで…。」 しょうがなく、買い出しに行こうとエプロンを外しかけたら零一さんに止められた。 「せっかく友達来てんだしさ、俺行ってくるよ。」 ニコニコしながら財布をエプロンのポケットに入れ、 僕の肩を叩いた。 「じゃ、留守番よろしくね。」 口を挟む暇もなく店をでていった零一さん。 「えっと…、コーヒーでも飲みますか?」 「あ、うん。」 …………。 なんで、見つめてくるの? 「葉月って、血液型は?」 「えっ?A型…?」 な、なに?急に? 「じゃ、ご趣味は?」 「…読書?」 「好きな食べ物!」 「…う~ん、桃缶…とか?」 「桃缶って。ま、俺も好きだけど。 次は~、誕生日!と、星座!」 「10月16日生まれの天秤座、です。」 何なんだろう?この質問攻め…。 「ふーん。」 質問している間も、僕が答えている間も、 佐伯くんは絶えず笑顔で。 そんなに楽しいのかな?
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