目からウロコ

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「お疲れ様です、零一さん。」 喫茶店『あるかーど』の扉を開く。 茶色と白を基調にしたモダン…っていうのか、大人びたこの店が僕のバイト先。 「よっ、ご苦労さん。」 くわえ煙草に眼鏡のワイルドな店長。 まどかくんの従兄、零一さん。 「珪、早くコーヒー入れろ。」 こっちの口にピアスをした、怖そうなお兄さんが、 僕の隣の家に住んでいるまどかくん。 ちなみに4つ上。 「あ、うん。」 いつもの雰囲気に飲まれて、さっきのことを忘れそうになる。 そうだ。二人聞いてみないと。 「あの、僕ってしゃべりづらい…?」 今、お客さんは他にいない。 暇そうな二人に向き合って、とりあえず直球に聞いてみる。 「へぇ、やっと誰かに言われたのか?」 答えたのはまどかくんで…。 やっぱり…肯定。 「ま、珪は口下手だからなぁ。その顔だし。」 零一さんの意味深なセリフ。 「その顔?」 「ダメダメ。こいつに自覚はねーよ。」 まどかくんのやる気のない否定。 顔?自覚? 首をかしげていると、零一さんがため息をついた。 何かダメなんだろうか…? 僕の顔って思ってた以上にダメダメ? 「ほーら、バカなこと考えてるぜ、コイツ。」 え、バカ? 何がおかしいの? 「無表情で訴えてくるのやめてくれる?流石に俺、わかってあげらんないし。」 苦笑する零一さん。 そうか、今、僕って無表情だったんだ。 「慣れっとわかりやすい奴なんだけどな。」 僕が何も言わなくてもわかってくれるのはまどかくんだけ。 僕が生まれたときからの付き合いで、 ホントの兄さんみたいに思ってる。 「コーヒーおかわり。」 「うん。」 しゃべりづらいってどうすればいいんだろう?
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