目からウロコ

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零一さんからのアドバイス。 『とりあえず、何かあったら笑っとけ。』 まどかくんからのアドバイス。 『気に入らねー奴はブチ殴れ。』 …まどかくんのアドバイスは対人関係ようには向いてないみたい。 笑う…ねぇ。 もんもんと考えながら教室の扉を開ける。 目の前には人の顔があった。 クラスメイトの佐伯くん。 彼はクラスでも人気がある。 さばさばしてるけど、面倒見がよくて、 仕切り屋で、結構頭が良くて、 カッコいいけど、気取ってなくて、 そういうところが女の子に人気らしくて、 だけど、女の子贔屓しないから男の子にも人気で。 秘かな僕の憧れの人。 が、目の前に。 あ、佐伯くん、ちょうど出ていくところだったのかな? 僕、邪魔してる! 「ごめっ…」 小さく呟きかけたセリフは佐伯くんの声にかき消された。 「おはよっす!葉月!」 そしてにこやかな笑顔。 笑顔、大切だぁ。 そんなこと考えてたせいで、妙な間があいた。 「……お、はよう。」 笑顔どころか、挨拶もぎこちない。 こういうときホントに凹む。 自分ってダメな奴なんだって。 いや、変わるって決めたじゃないか。 やっと気付いたダメなとこ、 変えなきゃ変わらない。笑う、笑う。 ニコッ! 今の僕の精一杯の笑顔。 …頬の筋肉が不自然に引きつる。 これは絶対笑顔じゃない。 「あ、うん。俺、トイレに行きたいんだけど、通ってイイ?」 戸惑った感じの佐伯くん。 …悪いことしちゃったな。 「俺、初めて葉月の表情が崩れたの見たかも。」 トイレから帰ってきた佐伯くんが、友達にそんな報告してるなんて知らなかった。 「よっぽど嫌われてる?」 なんて勘違いしてることも。
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