ネクタイ姿のA氏
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「ふぅ」 汗を拭い、ネクタイを緩めた。会社に戻るには少し早い。 重い鞄をベンチに置き、自販機に向かう。 <そのボール、拾ってくれませんか?> 足元に少し黄ばんだボールが転がってきた。 彼は腰を屈め、それを拾い上げて振り返る。 誰も居ない。 黄ばんだボールを眺める。忘れかけた少年の頃が蘇った。 プロ野球選手を夢見て、白球を追いかけていたあの頃……。
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