ネクタイ姿のA氏

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「俺、何やってんだろ」 いつの間にか、繕うばかりの毎日を過ごす彼に、白球はない。 黄ばんだボールは、彼の手の中で、優しく語りかけた。 「よし!」 彼は、重い鞄を再び抱え、足早に会社へ向かい始める。 「ありがとな」 黄ばんだボールは、彼の手を離れ、放物線を描いて、夕闇に消えて行った……。
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