出会い

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俺がこんなことを考えていると姫はハッとした顔になってノートを奪うようにして、また何かを書き始めた。俺はそのノートを覗き込んだ。 『奴隷はいないと言うのはその人の存在を否定してるわけではありません。そもそも奴隷という言葉があること自体間違っていると私は思っています。綺麗事言ってるように聞こえてしまうかもしれませんが、人に違いはない。そう思っています。』 「…なんで俺が考えてることがわかったの?」 声に出てたのかな…そんなことを考えていると姫はちょっとだけ笑顔を見せて、またノートを見せてきた。 『私、喋れないからかわからないけど、人の考えてることがなんとなくわかるんです。』 なんだか…他の王族とは違うのかもしれない。 この姫には人を惹き付ける力があるんじゃないかな。 俺は姫と出会ってまだ1時間もたっていないけどそんなことを秘かに思うようになっていた。
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