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俺が言うと姫は首を横に振って、また何かを書き始めた。
『あなたはこの穴から逃げてください。』
「…あなたは?」
俺が言うと、姫はうなずいた。
『私はここに残ります。一緒に行けばあなたに迷惑がかかります。それに、私は命なんか惜しくありません。』
姫の文章を読んで、なんだか悲しい気持ちになってくる。俺は、姫には生きていてほしいと思ってるのに…。
俺は、姫の腕を掴んだ。
「無理矢理にでも連れていきますよ。」
俺が言うと、姫は首を横に振って、抵抗するように腕を振り払おうとする。
俺の中で何かが切れた。
「俺は、無理矢理にでもあなたを連れていく!!いいから、黙ってついてこい!!」
俺が怒鳴ると、姫の頬から一筋の涙が流れる。
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