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姫は俺に手招きをして、階段を上っていく。俺がついていこうとすると、宿屋の主人に肩を掴まれた。
「あの…すみません。お騒がせして…」
「あんた、奴隷なんだな。」
宿屋の主人が俺の手を見ながら呟いた。
「あの…やっぱり奴隷が部屋に上がるのは…まずいですよね?」
俺が言うと、宿屋の主人はポカンと口を開けて、慌てて首を横に振った。
「違う違う!!そんなつもりでいったんじゃねぇよ。そうじゃなくてよ、一人でうろちょろしてるなんて珍しいと思ってよ。」
「あぁ…まぁ…いろいろあって逃げたんです。」
「へぇ…殴ったのか。」
こう言われて俺が思わずギクッとすると宿屋の主人がニヤリと笑う。そうすると俺の頭をグリグリと撫でてきた。突然の出来事に俺は、驚きを隠せなかった。
「な…何ですか?」
「いや、なんとなく!!」
「なんとなく!?」
俺が言うと、宿屋の主人は頷いて、俺の背中を押した。
「麗奈ちゃんを…いや、姫をよろしく頼むよ。」
そう言うと、宿屋の主人は、カウンターの奥に引っ込んでしまった。
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