6話『Desire』(1)

6/14
1776人が本棚に入れています
本棚に追加
/675ページ
名前は朝霞優奈。俺の二つ上の先輩である。 「修平はこっちにいたんだね」 「いや、俺もちょっと前に帰ってきたばっかだよ。それまでは東京にいた」 「え?東京に?それは奇遇だね。あたしも東京にいたんだよ。今帰ってきたとこ」 人は死を間近に感じると、故郷が恋しくなるものなのかもしれない。 俺がこうして帰ってきたように、綾音もユウちゃんも地元へ集まってくる。 「やっぱり死ぬ前に地元に来ておきたいって思ってさぁ。修平も同じでしょ?」 「そうだな。同じかも」 「修平は見ない間にカッコよくなったね」 「そうかな…」 「えい!」 「むはっ!」 突然ユウちゃんは俺を抱き寄せた。俺の顔は薄着の彼女の胸の谷間にすっぽりと収まる。 何がなんだかわからない俺は、焦ってもがいていた。 「んーんー!」 「どう?お姉さんの胸の中は?暖かいでしょ?」
/675ページ

最初のコメントを投稿しよう!