6話『Desire』(1)

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確かに暖かいし、いい匂いだし、中学の時に憧れた先輩の胸の中だけど、ここは駅前だ。 人の姿は見当たらないけど、こんな事されてるのを見られるのは恥ずかしい。 俺はなんとかその柔らかい胸の中から顔を上げる。 彼女は妖艶な笑みを浮かべて俺に顔を近付けた。 「修平?彼女はいるの?」 会話するには少し不便すぎる程近い俺たちの顔。 俺の心臓はいつになくスピードを上げて鼓動を刻む。 「彼女は…いない…」 「ま、いても関係ないよね」 ユウちゃんは俺が何を言う暇も与えずにキスをした。 俺は未だに思考が追いつかない。 キスをして約五秒。俺の頭を押さえて離さない彼女。 やがてその舌が俺の口の中へと侵入してくる。 唾液が口からこぼれ落ちた。 「ぷはっ…」 俺はようやく彼女の呪縛から解き放たれ、口元を拭った。 「ど、どうしたんだよユウちゃん…!」
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