流星

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 僕は彼女に特別な好意を持っているわけではない。  だからといって彼女を嫌いというわけでもない。  その種の感情を異性に対して持つのを辞めただけだ。  過去に何度か誰かを好きになり、そして失恋した。  初めて出来た彼女には、他に好きな人が出来たと言われて振られてしまった。  その度に、僕は酷く落ち込んで、そんな思いをするくらいなら、誰も好きにならない方が良いと決めたのだ。  だから必要以上に異性と親しくはならないし、距離を保って来た。  そんなわけで異性と二人でどこかに出かけるなどという事は何年もなかったので、少し緊張しているが、そんな感情を出さない術も、僕は身につけているつもりだ。  だから、大丈夫。  僕は小島さんを好きになったりしないし、小島さんもこんな暗く、人付き合いの悪い男を好きになったりしないと運転しながら考えていた。  「じゃぁ、行きましょうか」  コンビニにつくと、ビニール袋を両手にぶら下げた小島さんが立っていて、僕が運転する車に気がつくと、すぐに駆け寄ってきて助手席に乗り込みそう言った。  「……ずいぶん、買い込んだねぇ」  「オニギリとか、お菓子とか、ジュースとか必要でしょう?」   小島さんは笑顔で言う。  「そんな時は、手作りのお弁当とか……」  「……そう言う発想はなかったわ」  そんなやりとりをして、車は走り出す。  時刻は午後10時を過ぎた辺りで、ラジオの天気予報によると、天気は良いらしく、星空日和だと小島さんが言った。  目的地はコンビニから2時間ほど走った山の中で、ちょうど峠に観光客向けの道の家と呼ばれる店がある辺りだ。  そこには展望台もあり、夜空観測の星猛者の中でも有名な観測スポットだと、小島さんがネットで調べて来た。  
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