第三章…平穏‐姉と弟

2/3
1709人が本棚に入れています
本棚に追加
/734ページ
「―――…今さら何よ!」 自分以外、この家には誰もいない。 リビングで一人電話を手に怒鳴り散らしていた。 電話の相手に向かって、ただ怒鳴り続け……。 相手が何か言い放つ度にイライラが募る。 「とにかく、昔と今は違う!!」 ――――――バンッ! ――――…電源を切り、机に叩きつけた。 鈴乃の肩は上下に揺れ、そしてその場に座り込んだ。 辺りはシーンとして、静寂に包まれる。 ただ考えていた。 『運命』というものを。 そっとしておいてほしい。 今までずっとそうだったのに……。 このままこの幸せが続けば、って……。 なのに………。 あの人はあの子達に残酷な運命を辿らせようとする。 でもあの人は、私の可愛い―――――…。 ―――…でもこればかりは………。 お願いします、そっとしておいて下さい。 私達を………。 もう関わらないで……。 ―――…綾音。
/734ページ

最初のコメントを投稿しよう!