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「なに?」
「今日、イギリスから留学生が来るのは知ってるでしょ?」
「あぁ…うん、らしいね」
「あたし、校長室でチラッと見て聞いちゃったんだ!」
そう得意げに言う夏希はウィンクしてあたしに言い放つ。
詳しいことはよくわからないが、どうやら三日間くらいこの学校で学んだりするらしい。
「んで、どうだったの?」
けっこう気になっていた自分。
いったいどんな子なのだろうか…。
「ふふ…知りたい?」
「知りたい、聞きたい!」
片付けがまだ少し残っているが、そんなことも忘れて夏希の話に夢中になってしまう。
もったいぶられると、余計に聞きたくなる……。
「あのね、その留学生女の子なんだけど…すっごくお金持ちらしいの!」
「お金持ち……?なんでこんな普通の学校に?」
首を傾げ、疑問に思ったことを問う。
「休日に色んな学校を回って、この学校が一番気に入ったらしいのよ。しかもその子、お人形さんみたいでめっちゃ可愛いの!」
「へぇ……そうなんだ?」
聞きたいと思ったことを聞けたあたしは残りの道具も片付け、教室に向かって歩きだす。
その横に夏希が並び、再び口を開いた。
「……陸斗くんのクラスらしいしね……」
と、普段より少し低めの声で夏希は言い放った。
「あー…陸斗のクラスで過ごすんだー………って、え?」
遅れて反応したあたしは目を開いて驚く。
その様子に夏希が大きくため息をついた。
「どうしよーあたしの陸斗くんがその子のこと好きになっちゃったら……」
そんなに可愛い子なら好きになってもおかしくないんだよね……。
あ、でももう好きな子いるんだっけ?
いないのかな?
あー…そこの所あいまい……
「…………」
「…………」
「………いや、陸斗は夏希のじゃないからね」
「反応遅いよ、あんた………」
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