・かわいいあの子

3/16
1709人が本棚に入れています
本棚に追加
/734ページ
「なに?」 「今日、イギリスから留学生が来るのは知ってるでしょ?」 「あぁ…うん、らしいね」 「あたし、校長室でチラッと見て聞いちゃったんだ!」 そう得意げに言う夏希はウィンクしてあたしに言い放つ。 詳しいことはよくわからないが、どうやら三日間くらいこの学校で学んだりするらしい。 「んで、どうだったの?」 けっこう気になっていた自分。 いったいどんな子なのだろうか…。 「ふふ…知りたい?」 「知りたい、聞きたい!」 片付けがまだ少し残っているが、そんなことも忘れて夏希の話に夢中になってしまう。 もったいぶられると、余計に聞きたくなる……。 「あのね、その留学生女の子なんだけど…すっごくお金持ちらしいの!」 「お金持ち……?なんでこんな普通の学校に?」 首を傾げ、疑問に思ったことを問う。 「休日に色んな学校を回って、この学校が一番気に入ったらしいのよ。しかもその子、お人形さんみたいでめっちゃ可愛いの!」 「へぇ……そうなんだ?」 聞きたいと思ったことを聞けたあたしは残りの道具も片付け、教室に向かって歩きだす。 その横に夏希が並び、再び口を開いた。 「……陸斗くんのクラスらしいしね……」 と、普段より少し低めの声で夏希は言い放った。 「あー…陸斗のクラスで過ごすんだー………って、え?」 遅れて反応したあたしは目を開いて驚く。 その様子に夏希が大きくため息をついた。 「どうしよーあたしの陸斗くんがその子のこと好きになっちゃったら……」 そんなに可愛い子なら好きになってもおかしくないんだよね……。 あ、でももう好きな子いるんだっけ? いないのかな? あー…そこの所あいまい…… 「…………」 「…………」 「………いや、陸斗は夏希のじゃないからね」 「反応遅いよ、あんた………」 .
/734ページ

最初のコメントを投稿しよう!