・かわいいあの子

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―陸斗SIDE― ―――…教室内は来たときから騒がしかった。 「女らしいぞ!」 まだ先生は来ていない。 俺の目の前にいるなおは席を立ち、そう言い放った。 今日くる、留学生の子の話なんだが……。 詳しいことはよくわからない。 「………へぇ」 ただ普通に一言返して、俺は頷いた。 「なんだよ、興味ないのか?」 「え?あ、いや……そういうわけではないんだが…」 そう、興味がないわけではない。 どんな人なのか気になるし外人だし…… 「……てかなお、そろそろ先生来るんじゃないか?」 「大丈夫だって!まだこないこな」 「はい、席ついてー何堂々と立ってるのかな?」 そんな話をしていた時だった。 タイミングよく、担任が教室に入ってきたのだ。 そして、担任のその言葉は明らかになおに言っていた。 にっこりこちらを見て笑いながら、日誌をばんばん叩いている。 それに驚きと苦笑いを浮かべながら、俺たちは先生を見る。 そしてなおは自分の席へ戻ったのだ。 ……なんか…すごい迫力。 心の中でそんなことを思いながら、ははっと小さく笑う。 「……よし、みんなもう知ってると思うけど、我がクラスに留学生がやってきます」 なおが着席したのを確認した担任はそのあとに口を開いた。 周りからはおーという嬉しそうな声が……。 「みんな仲良くするようにね。よし、じゃあ入ってきなさい」 留学生らしき人は廊下にいたらしく、ドアにある小さな窓を通して担任が手招きをした。 するとガラッと扉が開き、オシャレな格好をした女性が教室に入ってきた。 ――…みんなが息を呑んだ。 「――…はい、この子が今日から数日間、一緒にこの教室で過ごす仲間です」 みんなは何も言わない。 ただ、ほとんどの人が顔を赤くして驚いていた。 腰まである長い栗色の髪 少し巻いてあって、頬にかかっている。 透き通った白い肌に整った顔立ち。 スタイルもいいという、外見文句なしの綺麗で可愛い感じの彼女。 ………世界は広いと思った。
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