・結果、そして異変

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―弥SIDE― ――――… ―――… ――… 「………早いなぁ」 ペラッとカレンダーを捲り、前の月を見ていく。 ―――三年間はあっという間だった。 色々なことがあり、ある意味自分の人生が変わった高校生活であった。 でもそれももう明日で終わる。 卒業式 長いようで短かった高校生活が、この式で幕を閉じる。 ふぅ、と息を吐き、カレンダーから手を離した。 明日は卒業式ということもあり、三年生はいつもより早く帰ることができるのだ。 自分としては残り少ない時間を生徒会を利用して過ごしたかったが、やることもない。 と、いうことで家でのんびり過ごしていたのだ。 テレビの電源をつけ、ソファに深く腰かける。 ―――…先日、前に受けた第一希望のN大学の合格発表を見てきた。 結果、無事合格。 だめかなーとか不安な所があったため、受かったことを知った時は本当に嬉しかった。 N大学 大学院教育発達科学研究科・教育学部 ここが卒業してからあたしの通う所。 偶然にも、夏希と一緒だった。 未来も、同じ大学だが学部は違う。 でも三人一緒というのは嬉しかった。 「………」 自分以外誰もいないこの家。 お母さんは仕事、陸斗はまだ学校だろう。 ……あの日から陸斗の態度が変わった。 彼からあたしに必要最低限なこと以外、声を掛けられなくなった。 陸斗が家に帰るのも八時以降になった。 お母さんは何もいわない。 何かあったのか、と聞いてもお母さんも陸斗も首を横に振るだけ。 陸斗とまったく話さない日々が続いている。 彼に自分の気持ちを伝える前の日々に戻ってしまった感じがした。 自分から声を掛けることはできなかった。 とても遠い存在に感じてしまい、ためらってしまうのだ。 「…………」 確実に変わっている日々。 この先には、何かが待っているのだろうか。
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