・結果、そして異変

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―弥SIDE― ―――…長い時間お風呂に浸かってしまったようだ。 体はぽかぽかと熱いし、頭もぼーっとする。 ……夏希、待ってるだろうなぁ……。 たくさん話そうねーって言ってたし、ね。 「夏希、おまたせ……」 「……あ、弥姉やっとあがった」 髪の毛をタオルでわしゃわしゃと拭きながらリビングに入った。 てっきり夏希がいると思っていたのに…… まさか陸斗がいるとは。 しかも普通に声をかけられて、いつもと同じ声のトーンと口調。 「夏希さんなら寝たよ」 驚いて声をださないあたしに陸斗は続けてそう言った。 黙ったままのあたしに陸斗が首を傾げる。 なにか……言わなきゃ。 「……あ…そうなんだ。それじゃぁ…あたしも寝よっかな」 はははっとわざとらしく笑い、階段の方に向かう。 「あ、弥姉」 階段の方に行こうとした瞬間、陸斗があたしの名前を呼んだ。 階段の方に向けていた体を彼の方に戻し、顔を見る。 「……え?」 きっと今のあたしの顔は驚いた顔をしているだろう。 「明日……空いてる?」 「明日って……卒業式だよ?」 「うん、そのあと」 「あ……うん、大丈夫」 なぜそんなことを聞くのだろうと考える。 「……んじゃあ空けておいてね。俺、風呂入ってくるから」 陸斗はそれだけ言うと、風呂場の方へと向かった。 ずっと笑顔で話していた陸斗。 でも、それは無理しているようにみえた。 明日……… いったい何があるのだろうか。 そんなことを考えながら、あたしは寝室に向かった。 嫌な予感がするのを感じながら……。
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