・明らかになる日

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――――… ―――――… ――――… 「んじゃあ、提出しておいてね」 生徒会の仕事もこれで終わった。 あとはこのプリントを先生に提出するだけ。 それは夏希に任せ、あたしは席を立った。 時刻はもうすぐ午後7時。 陸斗との約束ももうすぐだ。 「任せておいて。いってらっしゃい」 夏希はにっこりと笑って手を振る。 あたしも同じように手を振り返し、生徒会室をでた。 廊下は真っ暗で、窓から差し込む月の光だけが頼りだ。 もちろん、先生も生徒も辺りにはいない。 少しの緊張感と不安を持ちながらあたしは待ち合わせ場所へと歩き出す。 それはここから近い、昇降口。 行きたい所があるって言われてそこにしたんだけど……。 「昇降口ってことは……やっぱり学校内だよね?」 これでも三年間、この学校に通っていたし……ここのことはけっこう把握している。 だけど特に特別な場所などはない。 この時間だと図書館や食堂も閉まってるし……。 どこに行くんだろう? 頭の中で疑問を抱きながら考える。 でもさっぱりだ。 まったくどこに行くのか見当もつかない。 そうして眉を寄せていると昇降口が見えてきた。 そこには壁にもたれ、待っている陸斗の姿があった。 あたしの姿にはまだ気付かない。 彼が近くなる度に胸の鼓動が早くなる。 ………あれ? 自然と足が止まりそうになる。 行きたくない、って足が言っているように重く感じられた。 いや…… なんか……嫌な予感がするんだ。 「り……陸斗」 でも約束はしてしまったし、陸斗はもう目の前にいる。 どちらにしても引き返せない。 あたしの声に陸斗は反応し、俯いていた顔をあげた。 そして少し微笑んだ。
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