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キーッ―――…
重い音とともにドアが開く。
「わっ………」
そしてそれと同時に強い風がふいた。
なに、ここ?
瞑っていた目を恐る恐る開ける。
「えっ……すごい…」
そこは屋上。
上を見れば夜空が広がる。
普段とくに意識しない星がとても綺麗で……。
「弥姉。こっちおいでよ」
もっと見えるようにと、陸斗が口を開いた。
あたしは彼の隣まで行き、下を見た。
「……なんか、ちっちゃいね」
広いグラウンド。
周りに植えられている木も、朝礼台も……
「そうだね」
クスクス笑いながら陸斗は口を開いた。
「あたし……来たことなかったよ、ここ。ずっと立ち入り禁止だったしさ」
「………この前、立ち入り禁止の紐がなかったからさ。好奇心で入ったんだ。そうしたらこんな風景が広がっててさ」
遠くまで見える。
ビルの明かり、家の明かり、ネオンがとても綺麗……。
なんだか、吸い込まれてしまいそう。
しばらくそんなことを考えながら、あたしはこの景色を見ていた。
「………けっこういいでしょ、ここ。気に入った…?」
しばらくして陸斗が口を開いた。
目は前を向いたまま、あたしとは目を合わせない。
「あ、うん……。でもなんで今日ここに来ようと思ったの?」
なぜここなのか。
ただ単に教えたかっただけ?
だから待ち合わせしたの?
でもこれだけ……?
「…………」
一瞬、陸斗があたしと目を合わせた。
その時、悲しそうな目であったのをあたしは見逃さなかった。
「……大事な話でもあるの?」
なんとなく、本当に直感だけどそんな気がしたんだ。
陸斗が変わった理由がそれにあるならば、聞かなければ……。
心臓がバクバクと脈打つ。
破裂してしまうんじゃないかってくらいに速くて、緊張していた。
しばらく、沈黙が続く。
そして陸斗が口を開いた。
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