1710人が本棚に入れています
本棚に追加
―――――…
――――…
――――――…
「ただいまー…」
家の中に入り、そう言えば、コタローが寄ってくる。
にゃー、と鳴いてあたしに飛びついてきた。
「相変わらず重いなー……」
コタローを支えながらクスクスと笑う。
ここに来た時と比べたら、かなり太ったと思う。
毎回呟いているこの言葉。
ダイエットなどする気もないコタローはただあたしの腕の中でじっとしている。
「あら、お帰り弥」
リビングに入ると、テレビを見ていたお母さんが笑顔で迎えてくれた。
「ただいまー」
コタローをソファーの上に降ろし、自分もその横に座った。
「お母さん、仕事終わったらコタローの運動に付き合ってあげてよ」
ぽんぽん、と優しく頭を叩けばにゃー、とコタローが鳴いた。
「仕事から帰ってくると、お母さんクタクタなのよ」
あたしとコタローを見てクスクス笑うお母さん。
「このままだとただのデブ猫だぞ、コタロー」
むにむにとコタローの頬を手でマッサージしてみせる。
気持ち良さそうで、今にも寝てしまいそうな顔だ。
~♪チヤララ~~♪
と、その時
あたしの携帯から電話がきたことを知らせる音楽がなった。
ポケットからだし、ディスプレイには″夏希″と表示されていた。
「もしもし?」
それに出て、あたしは自分の部屋へ向かうため階段をのぼる。
今では一番右の部屋が自分の部屋となった。
陸斗と一緒だった部屋はどうしても居づらく、今では用がある時しか入ってない。
部屋に入れば、夏希の声が電話越しに聞こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!