・胸の中に全てを

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―――――… ――――… ――――――… 「ただいまー…」 家の中に入り、そう言えば、コタローが寄ってくる。 にゃー、と鳴いてあたしに飛びついてきた。 「相変わらず重いなー……」 コタローを支えながらクスクスと笑う。 ここに来た時と比べたら、かなり太ったと思う。 毎回呟いているこの言葉。 ダイエットなどする気もないコタローはただあたしの腕の中でじっとしている。 「あら、お帰り弥」 リビングに入ると、テレビを見ていたお母さんが笑顔で迎えてくれた。 「ただいまー」 コタローをソファーの上に降ろし、自分もその横に座った。 「お母さん、仕事終わったらコタローの運動に付き合ってあげてよ」 ぽんぽん、と優しく頭を叩けばにゃー、とコタローが鳴いた。 「仕事から帰ってくると、お母さんクタクタなのよ」 あたしとコタローを見てクスクス笑うお母さん。 「このままだとただのデブ猫だぞ、コタロー」 むにむにとコタローの頬を手でマッサージしてみせる。 気持ち良さそうで、今にも寝てしまいそうな顔だ。 ~♪チヤララ~~♪ と、その時 あたしの携帯から電話がきたことを知らせる音楽がなった。 ポケットからだし、ディスプレイには″夏希″と表示されていた。 「もしもし?」 それに出て、あたしは自分の部屋へ向かうため階段をのぼる。 今では一番右の部屋が自分の部屋となった。 陸斗と一緒だった部屋はどうしても居づらく、今では用がある時しか入ってない。 部屋に入れば、夏希の声が電話越しに聞こえてきた。
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