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「いいじゃない!眼鏡を外した方がかっこいいわよ!!」
鈴乃はバンバンと音を立てて陸斗の背中を叩く。
そんな鈴乃に陸斗は苦笑いを返す。
「ハハ……んじゃあ、行ってくるね。」
遅刻しちゃうからと付け加え、陸斗は扉を開けバタンと静かに閉める。
「……――いってらっしゃい。」
陸斗がいなくなり、自分以外誰もいなくなった空間で一人呟く。
鈴乃は陸斗が出ていった扉をしばらく悲しそうに見ていた。
家は寂しいくらいにシーンとしている。
「――…最低だ。残酷すぎる。」
扉を見ていた鈴乃はゆっくりと俯き、その台詞を床に吐き捨てる。
鈴乃は鋭く床を睨んだ後、ゆっくりと顔をあげ、何事もなかったかのようにリビングに戻っていった。
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