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「…な…なんで?」
痛い視線はやむことなく、陸斗に向けられる。
目の前を通る人が必ず陸斗に視線を向け、驚いては通りすぎる。
女子の中では顔を赤くする人もいる。
訳がわからず、陸斗は涙目になりながらも教室へと向かった。
――ヒソヒソ…
―ヒソヒソ…
…重い。
重すぎる。
教室まで向かうほんの少しの距離。
その距離がとてつもなく長く感じ、ため息をつく。
「はぁー…やっと着いた。」
陸斗はそう呟き、教室の扉を静かに開ける。
ガラッ―――…。
扉を開けた向こうにはいつも通りのさわがしいクラスの姿があった。
よかった…いつも通りだ。
陸斗は心の中で呟き、安堵のため息を漏らす。
その時、一人の女子と目が合った。
その瞬間、その女子生徒が驚いたような声を出し教室の中が一気に静まり返った。
クラス全員の視線が陸斗に向けられ、驚いた顔を見せたかと思えば近くの人と小さな声で陸斗に聞こえないように喋り始めたのだ。
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