・伝える想い

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やばっ……。 弥は視線を机へと戻し、再び支度を進める。 「…………んー…―――あっ。」 寝ぼけていた陸斗は、パッと覚醒し、弥をジーっと見つめる。 そんな陸斗に弥は必死に視線を合わせないようにする。 部屋はシーンとしていて気まずい。 一分一秒でも、すぐ抜けだしたい空間だ。 ――――…よし、支度も終わったし、やっとこの部屋から抜けだせ―――……。 「―――…弥姉。」 心の中で呟いていた時だった。 陸斗が静かに口を開き、弥と視線を合わせようとする。 陸斗の呼びかけに弥はドキッと一瞬体が跳ね、ゆっくりと陸斗と視線を合わせる。 陸斗は、言いにくそうに弥を見据えていた。 「………なっ…なに?」 声が自然と震えてしまう。 陸斗がこれから質問してくる予想はついている。 ――――…昨日なんであんなことをしたのかということ。 それ以外考えれない。 覚悟はしていたし、自分からも言うつもりだった。 …………だけど、いざという時になるとやっぱり緊張してしまう。 弥は陸斗に返す言葉を必死に考えながら、険しい顔をして陸斗を見つめる。 そんな弥に陸斗は真剣な顔をして口を開く。 「―――…あのさ…。」 「………うん。」 「…………なんでそんなに怒ってるの…?」 「――――…はぁ?」 思いがけない質問に弥は首を傾げ、自然と力が抜ける。 …………えっ…。 何だったの、あたしの覚悟と緊張。 「……聞きたいことって………それだけ?」 「………?………うん。」 陸斗は首を縦にふり、頷く。 ………………なんでだ?なんでそんなこと聞くの? 質問する内容がずれている陸斗になんかイライラ…。 変にかたくなっていた自分にイライラ…。 弥は顔を真っ赤にさせ、眉をつりあげる。
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