・嘘の強がり

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―陸斗SIDE― 11月―…。 あれから何日かたった。 あの後、弥姉はしばらく二階に来なくて……。 俺は睡魔に負け、寝てしまい……。 そして朝になったら何事もなかったかのように話した。 あの話をまた持ちかけるのはなんか心苦しくて……。 話し合えないまま時が過ぎていった。 ――――――… ―――――… ――――… 「明日楽しみだなぁ。」 弥と自分らの部屋で明日の準備をしていた時だった。 弥が楽しそうに口を開く。 「うん、そうだね。」 それに続き、陸斗が自分の服を鞄にしまいながら返す。 「三年に一回ある、うちらの学校の伝統行事、全校合宿、二泊三日!!朝から夕方まではずっと勉強だけど、夜は全校で肝試しとか………超楽しみ!」 弥は満面の笑みで支度を進める。 「…………この行事って、生徒会中心で動くから弥姉大変だね。」 陸斗は弥の方をむいて微笑みながら言う。 「大丈夫だよ。集会とかで動くのはあまり好きじゃないけどこういうので動くのは好きだからさ!」 弥も陸斗の方を見て笑顔を見せる。 「よし。じゃあ、あたし用意し終わったからもう寝るね。」 弥は立ち上がって、ニ段ベットのはしごをのぼり、横たわる。 「ん、おやすみ。」 陸斗は弥にそう言うと自分も支度を終え、電気を消し寝床につく。 部屋の中は暗く、シーンとしている。 しばらくすると弥の方から寝息が聞こえてくる。 ―――あっ、弥姉寝たんだ……。 はやいなぁ。 二分しかたってないのに。 陸斗は口を押さえクスクス笑う。 友達と一緒に寝るとか初めてだから楽しみだなぁ。 眼鏡をとった日からいじめはなくなって安心している。 逆に俺をいじめていた奴らがいじめられているらしく……。 陸斗はだんだん睡魔に襲われ、ゆっくりと瞼をおろした。
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