・嘘の強がり

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「ま……まぁまぁ…落ち着いて。」 なんだかヤバいと感じた弥は二人の間に割り込む。 「なによ!弥!自分がモテないからって陸斗くんを睨むんだよ!?しかもかなり感じ悪いし!」 ―――いや、モテないから睨んでいるのではないと思う。 陸斗と尚宏は二人の迫力にただ固まっていた。 「なっ……うるせー!自分だって人のこといえないだろ?」 「あんたよりマシよ。あんたってほんっとガキ。サッカー部部長の寿くんを見習いなさいよ。校内一、かっこいい人なんだから!」 ………げっ! なぜここでよりによって寿の名前が………。 このまま守が何も言わなければいいが………。 弥はハラハラして二人の方を見ながらも、チラッと陸斗の方も見る。 「寿だー?俺は今の俺が一番……って、そういえば杉野さぁ今日告られたよなぁ?」 「………!?」 守の発言に弥は顔を青くし、固まる。 「えっ!?」 夏希が素早く反応し、弥の方をじーっと見る。 陸斗も驚いたように弥を見る。 「なんかーより戻さないか?ってさっき……。」 「ちょっ……守!」 弥は話されたくないとでも言うように止めに入る。 「い…弥!そんなこと言われたの!?そういえば二人は付き合ってたもんね……。」 「あっ、あのね、夏希……。」 陸斗の前で言わないでほしい。 聞かれたくないのに……。 「寿先輩と付き合っていたなんて…杉野先輩すごい。なぁ、陸斗?」 「………えっ?」 ずっと黙っていた尚宏がわくわくしながら、陸斗にむかって言う。 ずっと弥を見ていた陸斗は突然の質問に戸惑う。 「あっ……えっと…。」 「陸斗くんからすれば、お姉さんがかっこいい人と付き合うのは賛成だよね?」 夏希が割り込み、笑顔を見せながら言う。 突然の発言に陸斗は夏希の方に目をむける。 弥は黙って陸斗を見つめ、言葉を待つ。
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