・今、素直に

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―陸斗SIDE― ―――午前11時。 休憩でもない今、部屋の中はざわざわとしていた。 見張りの先生は急な会議で、でている。 それを、みんな勉強をしないでいいチャンスだと思い、周りの人と話しているのだ。 ――――――――…… 「――…ふぁ……ぁーあ …んっ。」 その中で陸斗は眠そうに大きなあくびをする。 「でっけぇーあくび……。」 「――んー……だって……。」 頬杖をつく尚宏に陸斗は口を手で押さえる。 「あまり眠れなかったのか?」 「………んー?うん………。」 なぜだかわからないのだが、昨日からずっと心がモヤモヤしていたのだ。 おかげで、深い眠りにつくことができなかった。 陸斗はため息をつくと机に顔を伏せる。 「枕が合わなかったからか?」 「んー…まぁそんなところ。」 陸斗は顔をあげ、ハハッと笑う。 「そういえばさ、さっき色んな奴から聞いたんだけど……もう噂がすごい広がってるみたいだぜ?」 「………はっ?なんの?」 にやにやしながら顔を近付ける尚宏に、陸斗は警戒心をだす。 「昨日のあれだよ。杉野先輩と寿先輩の――…!」 「――えっ…?」 まただ……モヤモヤが……。 陸斗は服の上からモヤモヤするあたりをわしづかむ。 ――――そうだ。 わかった。 ―――いつも弥姉の名前を聞いたり、思い出したりするとなるんだ。 でもなんで……? 「お似合いだよなぁ!美男美女でさぁ……。」 尚宏はうっとりしながら言い放つ。 「――――…。」 確かに二人はお似合いだ。 寿先輩はかっこよくて、すごくモテる。 ―――…だけど。
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