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「なっ……そんなに驚いて……。まさか図星!?」
「ち……違うって!なおが変なこと言うからっ……。」
尚宏の驚きに慌てて訂正する陸斗。
そもそも、ヤキモチをやくなんて…それじゃあまるで俺が―――…。
「でもあんな美人なお姉さんもったら、けっこう複雑じゃね?」
「…………別に。」
陸斗は尚宏から顔をそむけ、視線を意味もなく泳がせる。
「ふーん…。まっ、いいや。お姉さんがいくら好きでも、近親相姦にならない程度にな。」
そう尚宏は言い放つと、目の前にある問題集に手をつけだす。
「……近親そー…かん?」
陸斗は尚宏の言った言葉の意味がわからず、首を傾げる。
「え?おまえ意味知らねぇの?んまぁ、ちょっと言い方がおおげさすぎたかもな。使い方も少し違うし。」
「…………?」
「近親相姦は、血の繋った者同士が愛し合うことだ。」
尚宏はニヤッと笑い、陸斗に言い放つ。
それを見た陸斗は驚いたように目を見開く。
「つまり、おまえの場合は姉弟で愛し合うこと。いくら馬鹿なおまえでもわかると思うが、杉野先輩と愛し合うこと『近親相姦』はイケナイことなんだよ?わかったかな?」
ふざけて馬鹿にしたように言う尚宏に陸斗は目をそらす。
「まっ、杉野先輩は寿先輩と付き合う感じみたいだし、そういうことはなさそうだな!」
尚宏は最後にそう言い放つと、再び問題集に目を戻した。
「―――…うん。」
陸斗は一言返事すると同じように問題集に目をむけ、シャーペンを握る。
―――シャーペンを握る手汗がすごい。
かなり動揺しているのが自分でもわかるのだ。
血の繋った者同士が体を重ねること。
“近親相姦”
今初めて聞いた名前なのに、すごく重く感じられた。
―――姉弟が体を重ねたことをそう呼ぶなら……。
―――…俺達は、
―――『近親相姦』を犯したんだ――…。
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