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―弥SIDE―
カーンカーン―――…。
「んー!やっと終わった!」
午後6時。
長い学習は鐘の音とともに終わりを告げた。
あとは肝試し。
これで生徒会の仕事は終わる。
「あっ、未来。一緒に食堂行こう!」
勉強から解放された嬉しさで、弥は笑顔で未来に話しかける。
「あれ?昨日やっていた受付は?」
「今日は夏希と久志だからないんだぁ♪」
「そうなの!?じゃあ一緒に行こう♪」
未来は弥に近寄り、笑顔で答える。
昨日は一緒に食べられなかったのだ。
やっぱり、こういう行事の時は友達と食べたい。
弥はそう思いながら、未来と一緒に歩きだす。
「――おーい、杉野!」
部屋から一歩でようとした時だった。
少し遠くに一人の男子がこっちにむかって手を振っている。
「………あっ、守…。」
弥と未来は立ち止まり、守の方を見る。
………何か他に生徒会の仕事が残っていただろうか。
いや、あとは肝試しだけのはず……。
じゃあ、なぜ守が……。
「――…なーに変な顔してんだ!」
「わっ!守…びっくりした!目の前にいるから……って、ちょ!なに!?」
少し遠くにいた守がいつの間にか自分の目の前にいて驚いたのも束の間、急に腕を掴まれ、走り出す。
「砂原ー!ちょっとこいつかりるからな!」
「な…何言って……守!」
「いいから来い!話がある!」
走る速度が遅くなることはない。
一瞬、後ろを向いたら未来が驚いたようにポカーンと口をあけていた。
………そりゃあ驚くよね。
あたしも驚いているんだし……。
弥は諦めて、されるがまま守についていったのだった。
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