366人が本棚に入れています
本棚に追加
田宮達が賑やかに食事をしていると、1人の男が店に入ってきた。
その男は田宮を見つけると近寄って話し掛けた。
『アンタがあの田宮翔太かい?結構な人気者じゃねぇか。』
と、喧嘩腰に言った。
一緒に食事をしている江藤や他の運転手、そして何よりオフクロに迷惑を掛けたくなかった田宮は、この場での争い事はどうしても避けたかった。
すると、今度は
『おっ!人気者は案外チキン野郎だったんだな。』
と、田宮を挑発してきた。
その時、運転手の1人が、
『オウ!そこの兄ちゃん。随分と喧嘩売ってんじゃねぇか。ここは盛り場じゃねぇんだ。喧嘩してぇ~なら他に行きな。』
と男に言った。
すると、男は【フッ】と笑って、
『アンタには話してねぇんだよオッサン。そこのヒーロー気取りでスカした野郎に言ってんだ。ザコは引っ込んでろ。』
と言うと同時に殴り飛ばしてしまった。
『このガッキャ~、黙ってりゃ~イイ気になりやがって。』
と他の運転手まで乱闘に参加してしまった。
田宮は乱闘を止めると男に言った。
『ここは皆が航海の疲れをとりにくる唯一の場所なんだ。それを知っていながら乱闘騒ぎを起こしたのか?』
すると男は、
『ああ知ってたさ。でもこの位しなきゃアンタはシカトすんだろ?』
と言った。
すると、田宮は静かに男に言った。
『知っていながらやったのならオレは許せねぇな。表に出ろ。』
そう言うと江藤とオフクロに近付いて、
『江藤さん、オフクロ、チョット野暮用が出来たから行くわ。これ、みんなの分ね。』
と言い、1万円札を2枚置くと、足早に店を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!