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しかし、まさかあの焼け野原にこんな街が出来るとは…
桜の花びらが、ハラリと舞い落ち、小さな池に溜まった水の上でユラユラと揺れる
人間の感心出来るところは、常に快楽を求めて
いる事だねぇ
私から見れば、
鳥籠に閉じ込められた
カナリアにしか見えないよ
ほら、今宵も囀るカナリアの声が聞こえて来たよ
その声に引き寄せられる、なんて間抜けな男達
この吉原には愛など
ありゃしないのに
可笑しくて笑えてくるよ
だけど、そんなカナリア達も、朝になれば雀に
戻る
はげた化粧
乱れた髪
そして私の所にやって来て、人に言えない心を明かす
そんな疲れた雀達に
花びらを散らして優しく
包み込む
私が見守ってあげますよ
だから涙を流すのは
おやめなさい
涙は嬉しい時に
流しなさいな
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