ー廓桜 夢芝居ー

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「お兄ちゃん!」 おやおや、あんなに 走って… 転んでしまうよ 「ハァハァ…お兄ちゃん」 「どうしたんだい?」 「はい、あげる」 「何だい?これは」 手の平に乗せられた かわいいかたまり 「あのね、おねえさんにもらったの」 「そうかい」 どうやら可愛がってもらってるみたいだ 「こんぺいとうって言うんだって」 「へぇ…まるでお星様みたいだ」 「ねっ!」 「だけどこれを貰ってしまうと、てまりは3つになってしまうよ」 「あっ…はい」 「えっ?」 もうひとつ、手の平に のせた 「これで一緒」 「いや、そうじゃなくて…」 「早く食べようよ」 まったく… 欲がない子だよ 「食べようか」 二人で桜の木の下に座り、小さな星を口の中に ほおりこむ 「甘い…」 「甘いねぇ」 初めて人間にもらった プレゼントは、甘い甘いこんぺいとう 決して忘れないよ 私は義理堅いんだからさ
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