ー廓桜 夢芝居ー

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時は過ぎ、少女から娘になったてまり それでも度々やって来た 言い忘れたけど 人の姿になるのは 結構疲れてしまうのさ だけど、てまりの為に 今日も桜の木の下で 待つ 言ったろ? 私は義理堅いってさ やれやれ…17になっても昔と同じように走ってるよ 「ハァハァ…お兄ちゃん」 「てまり、危ないから もう走るのはおやめ」 「お兄ちゃんっ!」 いきなり抱き着いて来た てまり そうだったね お前は廓に売られたんだった 「よしよし、言っただろ?涙は簡単に流すものじゃない」 「お兄ちゃん…」 「てまり…ひとつだけ、教えてあげるよ」 「えっ?」 「幸せになりたいのなら、誰も愛してはいけないよ」 「うん…わかった」 「信じられるのは自分だけさ…簡単に人を信用するのもいけない」 「うん」 「辛くなったらいつでもおいで」 「うんっ」 「頑張るんだよ…」 私にはそれくらいしか 言ってあげられない 悲しいねぇ… 何もしてあげられないってのはさ 私には見守る事しか 出来ないんだ ホントに悲しいねぇ…
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