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次の日も雨だった
そして朝早く、てまりは二人でやってきた
「お兄ちゃん」
「ここにいるよ…」
「この人なの」
「そうか…てまり…」
「わかってる…この人と決めたの…生きていても辛いだけ…」
「何故死ぬとわかる?」
「お兄ちゃんは人間じゃないもの…それに、私達は死ぬんじゃない…長い旅に出るだけ」
「いいんだね?」
「うん…私は好きな人と一緒に永遠を手に入れたい…お兄ちゃん…今までありがとう…こんぺいとう、美味しかったね」
「ああ…美味しかった」
「私は幸せ…」
「そうか…これは最初で最後の私からのプレゼントだ」
てまりの髪に、桜のかんざしをさす
「綺麗…ありがとう」
可愛いてまり
最後はお前に美しい夢を…
辛い記憶など必要ない
この桜吹雪に抱かれて
眠るがいい
永遠にね……
かんざしがシャランと
鳴った
それはてまりが笑って、さようならと言っているようにも聞こえた
皮肉なものだな
私はまた、人を食べて
生き続ける
いつまで続くのか…
てまり…
ゆっくり眠れ
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