始まり

1/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ

始まり

雪が溶け掛けた2月の終わりに、僕は、初めて声を殺し、一人で泣く人を見た。 学校の帰り道、3年生は、自由登校になって、2年生と1年生だけが登校するこの時期に、クールで、怖いと言われる3年生の先輩が泣いていた。 何時もなら、声を掛けないで、ささっといなくなるんだが、今日は、気になる。それは、他のどんな女の子よりも泣いている姿が可愛いかったからだ。 彼女の名は、月白歌穂先輩。そのギャップに惹かれて立ち止まってしまった。 声を掛けようか迷っている内に、彼女は、こっちに向かって走ってくる。条件反射で隠れてしまった。 彼女は気が付かなかったようだが、僕は彼女の涙の理由を知りたいと思った。 それが、僕の恋の始まりだった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!