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彼女の泣いていた理由を考えてたら、あっという間に時間が過ぎていた。
学校に行って、友人に意見を求めた。
「...杉野。女の子が、声を殺して、隠れて泣く時って、どんな時だ?」
「...何、柚希?好きな奴でも出来たのか?」
俺は、慌てて、否定した。
「...違う違う!ただ、知り合いが泣いていたから、気になっただけだよ!」
「...水野。その人に声を掛けたのか?」
友達の中でも、真面目に話を聞いてくれる頭脳派の長谷川に答えた。
「...いや、長谷川。掛けられなかった。知り合いっても、俺が一方的に知っているだけだし、あの人は知らない。ただ、泣いている姿を初めて見たのと、涙なんか似合わなそうな人で、それが実際、すごく可愛いと言うかなんか、とても印象に残って、気になっただけさ。」
「...恋の始まりだったりするかもな!」
真面目な顔をしたまま、何を言い出すかと思えば、その言葉が、胸に響いた。
「そ、そ、そんなわけないじゃん!」
俺は否定するものの、その言葉に何故か否定出来ない自分がいた。彼女の泣き顔が、また、頭の中をよぎって、忘れなかったから。
関わりがないかと思っていたが、まさかあの人に逢うなんて思いもしなかった。
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