女目線

4/6
前へ
/19ページ
次へ
その時、確かに感じた感触。 唇に優しく触れた彼の柔らかい部分。 それは決して欲望を感じさせるようなものではなく、例えるならば暖かい春の空に浮かぶ綿雲のごとく、繊細なものであった。 それはきっと彼の感情が溢れ、彼の身体を動かした結果なのであろう。 直後に私の髪に静かに感じる彼の掌の感触。 その感触は私の記憶におぼろげに残る、父親のそれとはまた異なったものであった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加