0人が本棚に入れています
本棚に追加
飴
俺がまだ山梨にすんでた頃の話。
そん時俺は9歳だったんだけど小遣いあんま貰ってなくて
一ヶ月に50円とか、良くて100円だったんだ。
そんでこの時は小遣い全部使いきってて、でもどーしてもおやつが食べたかったんだよ。
でも子供ながらに親には迷惑かけたくないって思って、近所の駄菓子屋の前でジーッとお菓子を見つめてたんだ。
そしたら奥から意地悪そうなバーさんが出てきてさ。俺の物欲しそうな顔を見るなり
「何じゃ坊主、冷やかしか?だったらすぐ帰りんさい!」
って言うんだよ。
そんとき生まれて初めてなくらい悔しくて泣きそうになってさ
唇をグッと噛んでこらえてたらそのバーさんが
「そんな所にいられたら営業妨害じゃ。これやるから帰り。」
つって飴玉一つ俺の手に握らせたんだ。
俺嬉しくて嬉しくて…。ホントはこのバーさんも優しいんだなって。
それから2日に一回は駄菓子屋に通った。あのバーさんは嫌がる仕草を見せたけど、最後にはいつも俺の小さい手に飴玉を握らせたんだ。
でもさ。そんなバーさんが半年前に…ぽっくり、死んじまったんだ…。
俺、言いたいこといっ…ぱいあってさぁ!まだまだ会って話したかったのに…
だから…
最初のコメントを投稿しよう!