卒業

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「もしもし?」 しわがれた声。 「もじもじ?……母ぢゃん」 「なんだい?あんた泣いてるのかい?」 「ゔん。ごめんなざい゙。んで……ありがどう」 「……少し落ち着きなよ」 「ゔん」 涙を服の袖で拭いて、世界一美味い卵焼きを食って…… 「母ちゃん」 「なんだい?」 「行きたいとこある?」 「んー、温泉に行きたいかねー」 「うん。戻ったら連れてってやる」 「期待しないで待ってるよ」 「うん、待ってて。 ねえ、母ちゃん」 「なんだい?」 「……大好き」 「よせ、気持ち悪い」 「本当だよ。マジでありがとう。こんな糞餓鬼で……ごめんな?」 「……あんたがいれば何もいらないよ。だから謝るんじゃないよ。 愛してるよ……頑張りなバカ息子」 乱暴に電話が切られた。俺はまた泣きながら弁当を食った。スゲー美味い。卵焼き。唐揚げ。えびふらい。もう滅多に食えないのか…… ダメだ。俺はいつまでもあなたの息子だよ。卒業……できんかな? FIN
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