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まあ、生活に必要な家具とかは既に向こうに送ってるし、俺は軽装な訳で……
だっせー服着て、金なんか入ってない薄っぺらい財布持って、着替えとか小物が入った鞄持って、十八年間育った玄関を意気揚々と出ようとしたんだ。
そしたら……
「ちゃんと財布持った!?向こうの地図は!?なんかあったら、ちゃんと連絡しなさいよ!」
って最後まで口うるせーんだ。
もう我慢の限界。心配性もいいとこ、つうかうざい。俺はこれから自由になんの!
「うっせーよ糞ババア!全部持ったつうの!」
「糞ババアって!あんたそれが親に言う言葉かい!」
「黙れよ!俺はもう餓鬼じゃない!大人なんだよ!」
そう言って家を出ようとしたんだが、あのババアはなんかちょっと大きな手提げ袋を俺に持たしてきた。
そして、なんか苦みをすり潰したような顔で
「行ってきな……」
って言うと居間の方へ消えていった。
本当に清々したよ。もう、こんな貧乏くせー家なんか帰って来ねえつうの!
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