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地元の駅から電車に乗り、県でも大きな部類に入る市で電車を乗り換え、そしてまた電車に揺られ新幹線に乗り換える。
地元から離れていく度に気持ちが弾んだ。やっとおさらばだ!って。まあ、地元に残った友達のことを思うと少し寂しかったけど……
そして、時間も昼時に近づくと、俺はあのババアからもらった手提げ袋の存在を思い出し、なんとなく中を漁ってみた。
どうせろくなもんなんか入ってないだろうなーって思ってたんだ。
でも、緑色の古く貧乏くさい包みが見えて……
ああ、これか……って思った。
高校生になってから、一日も欠かすことなくあのババアが作る弁当。そん中でも必ず入っているのが卵焼き。これまた田舎くさい味で……
形は綺麗だけど濃い味つけで、しかも三年間ずっと食ってたからめちゃくちゃ飽きた。
卒業式の半年ぐらい前から、もう嫌気が差して友達に食わせてたっけ?
意外と好評だったけどな。あと、手作りの漬物入れられた日なんかキレかけた。みんな美味そうな弁当持ってきてんのに、漬物ってセンスなさ過ぎだろ?
なんか……自分がとてつもなく不憫な人間に思えてきたよ。
金持ちの家なんて言わないから、普通の家に生まれたかった。あー、ツイてねえの。
まあ、腹も減ったしどうせ卵焼きと漬物が入っていることが確定してる弁当の包みを開けた。
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