紫色の招待状

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そんな落胆している彼に、 ある転機が訪れた。 大学の帰り。 いつもと変わらない、 ぱっとしない授業を終え、 ポストの裏にかけてある 自分の部屋の鍵を取り、 郵便物をしらべる。 いつも通りの スーパーのチラシ、 習い事の勧誘、 ごくたまにくる親からの ワープロによる 冷めた文字の手紙。 「勉強は頑張ってるか? 仕送りを送ってある。」 彼の体、 大学生活を気にかけてくれる 文が見当たらない。 いつもの毎日だった。
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