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「こら、戦うのじゃ!逃げるでない!」
恒興は必死に馬を繰って戦場を駆け巡りながら叱咤するが、兵達の混乱、逃走は一向に解ける気配が無い。
兵は混乱すれど、斎藤勢は押し寄せて来る。恒興を目掛けて雑兵が襲いかかるが、何とかいなす。
「このままではまずい!」
迫られては突き伏せ、突かれては何とか槍の柄で攻撃をいなす。
もうかれこれ五、六名は突き伏せているのだが攻撃は止まない。
いくら躱せど突き伏せど、一向に衰えない敵の勢いに、流石の恒興も疲労の色を隠せずにいた。
さらに辺りを見回せば織田木瓜の旗がいくつも地に伏せている。
恒興は自分の運命を悟った――。
「もはやこれまでじゃ!皆の者、冥土にて会おうぞ!」
恒興は槍を捨てて馬から飛び降りると、太刀を抜き、溢れる斎藤勢の中へと飛び込んでいった――。
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