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北畠家の軍勢二千も加わり、まさに破竹の勢いで織田諸城を落としつつ、ついに清洲城へと到達した斎藤勢。早速織田の軍勢四千が籠る清洲城を遠巻きから包囲した。
迂闊に手を出せば、間違いなく織田信長にしてやられてしまう。だが相手も無理に手を出すことは出来ない。
完全に膠着状態が続いていた。
「うぅむ……。やはり信長、これほどまで静かだと逆に不気味じゃな。
守就、調略の方はどうなっておる。」
「はっ。柴田、林両名は共に寝返りを約束していますが、信長の監視が強いゆえ、機を待つとの事でございます。」
先日から調略を命じられていた守就は、淡々と話す。龍興は無表情で頷きながら聞き、地図上の清洲城西の丸をトントンと軍配で指す。
「先日、忍びの者より西の丸が手薄との知らせを聞いた。
だがこれは信長が我らを誘う策であり、西の丸を攻めたところで弾き返されるだけじゃ。
じゃからここは敢えて堅固な東の丸から攻め入ろうと思う。
堅固な東の丸を守る兵達には慢心が生じ、兵達は驕っている。慢心ほど人を堕落させるものは無い。」
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