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「ならば全軍で東から攻めるぞ。これから一時間後にな。」
龍興がそう言うと、すぐに武将たちは慌ただしく立ち上がり、攻撃の準備のために各々の隊に戻っていった。
空には未来を暗示するかの様に、見事な青が広がっていた。
「――全軍、突撃!」
戦場に龍興の声が轟き、それに伴って数千の兵達が一気に城に駆け寄る。雷鳴の様なときの声と、大地が割れんばかりの地響き。
今までとはひと味もふた味も違う斎藤家の勢いに驚く織田勢。
だが織田勢も負ける訳にはいかない。城壁からは凄まじい数の矢、弾が飛び、斎藤勢を押し返す。
押しては押され、押されては押し返す。お互いが一歩も譲らず、戦況は一進一退の相を呈していた。
「流石は織田じゃな。一歩も譲らぬか。
だが、最も危険なものは足下にあるという事に気付いておらぬな。」
龍興が馬上でそっと呟く。
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